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防犯カメラや監視カメラって何を基準に選んだらいいの?|機能の違いや選定ポイントについて徹底解説!

2023年02月01日

防犯カメラ、監視カメラ

コンビニ、オフィスビル、エレベーターなど、監視カメラは街中のいたるところに設置されています。その効果は非常に大きく、犯罪の抑止や証拠映像の記録として社会に貢献してきました。最近では、防犯目的にとどまらず、見守りや入退室管理、マーケティングなど幅広い分野で注目を集めています。しかし、いざ監視カメラシステムを導入しようとしても、どのようなカメラを選べばいいのか迷ってしまいます。そこで本コラムでは、監視カメラの基本的なスペックや様々な機能、用途に合わせた監視カメラの選び方について徹底解説します。

アナログカメラとネットワークカメラの違いについて

監視カメラは、大きく分けてアナログカメラとネットワークカメラの2つに分類されます。ここでは、アナログカメラとネットワークカメラそれぞれの特徴について解説します。

アナログカメラの特徴

アナログカメラとは、録画した映像をアナログデータとしてレコーダーに保存したり、モニターに映し出したりするタイプのカメラを指します。同軸ケーブルを使用して、カメラとレコーダーを直接接続することで、映像を監視したり録画したりすることができます。従来、アナログデータでは30万~48万画素程度の映像しか伝送できませんでしたが、現在ではフルHD以上(200万画素)のデジタル映像をアナログ信号に変換して伝送することができるAHDカメラが登場し、アナログカメラでも高精細な映像を映し出すことができるようになりました。

ネットワークカメラの特徴

ネットワークカメラとは、文字どおりネットワークに接続することができるカメラを指します。カメラ一台ずつにIPアドレスが振られているため、「IPカメラ」と呼ばれることもあります。映像の伝送と電源供給をLANケーブル1本で実現することができるため、スッキリした配線が可能です。さらに、ハブを設置すればカメラの接続台数を大幅に拡張することもできます。

※LANケーブルで電源供給を行うには、PoE給電に対応したレコーダーまたはPoEハブが必要です。

監視カメラの種類と形状

バレット型(ボックス型)カメラ

バレット型カメラとは、いわゆる「ザ・監視カメラ」といった形状をしているカメラです。銃弾、弾丸を意味する「bullet」からきており、威圧感があるため犯罪の抑止効果が期待できます。コンビニやスーパーなどの屋内店舗から、電柱や駐車場などの屋外まで幅広く設置することができます。

※ボックス型カメラに屋外用のハウジングを取り付けたものをバレット型と呼ぶこともあります。

バレット型カメラ

ドーム型カメラ

ドーム型カメラとは、レンズ部分が円形のドームで覆われており、監視する方向が分かりにくい構造となっています。また、バレット型のような威圧感もないため、カメラを目立たせたくなかったり、風景に溶け込ませたかったりする場合に適しています。レンズ部分がしっかりと覆われているため、耐水・耐塵性に加えて、耐衝撃性も備えているモデルが多くあります。

ドーム型カメラ

全方位カメラ

全方位カメラとは、魚眼レンズが搭載されており、1つのカメラで360度の監視をすることができるものを指します。コンビニ程度の広さであれば、店舗の中心部に設置することで、店舗内を1つの画角に収めることができます。この性質を利用して、店舗内にいる人数をカウントしたり、人がどのエリアに滞留しているかを監視したりすることもできます。

全方位カメラ

PTZカメラ

PTZとは、P(パン:水平回転)、T(チルト:垂直回転)Z(ズーム:拡大縮小)の略で、これらを遠隔で操作できるカメラをPTZカメラといいます。アナログカメラとネットワークカメラの両モデルがありますが、最近ではPCやスマートフォンから遠隔操作できるネットワークモデルのPTZカメラが普及しています。専用のコントローラーやマウスを使いPTZを操作することによって、PTZカメラ1台で広範囲を監視することができます。さらに、プリセット機能や自動追尾機能が搭載されているモデルもあり、管理者が操作をしなくても自動で視点を変えることができます。一方で、常に視点が固定されているカメラと違い、視点を変更しながら広範囲を監視するため、同じ箇所を監視し続けることができません。また、固定タイプのカメラに比べて価格も高いものが多いです。

PTZカメラ

監視カメラを比較するうえで押さえておくべき基本的なスペック

防犯カメラや監視カメラのスペックを見ると、「解像度」や「F値」といった言葉をよく目にします。ここでは、監視カメラの性能が一目で分かるように、知っておくべきワードを6つ解説します。

解像度

監視カメラの解像度とは、カメラが出力することができる映像の画素数を意味します。もっと簡単に言うと、カメラの解像度が高ければ高いほど、より高精細な映像を撮影することができます。もちろん、高解像度になればなるほどカメラの値段も比例して高くなります。

「2MP」、「2メガピクセル」、「200万画素」「フルハイビジョン(FHD)」といった表記がありますが、どれも同じ画素数を表しています。現在は、200万画素の監視カメラが主流となっています。200万画素とは200万個の粒で映像が構成されているという意味で、標準的な液晶モニターでは、横1920画素×縦1080画素で表示されます。また、200万画素の映像データは基本的にデジタルデータになるため、ネットワークカメラで映像を出力することになります。しかし、最近ではデジタルデータをアナログ信号に変換することで、アナログカメラでも200万画素以上の解像度で映像を映し出すことができるモデルも登場しています。

画角

監視カメラの画角には、水平画角と垂直画角の2つがあります。また、撮影範囲は撮影対象との距離によっても変わってきます。カメラにはズーム機能が備わっているモデルも多く、例えば、「水平:37°~117°」のように表示されている場合、最大倍率のときは水平画角が37°、最小倍率のときは水平画角が117°という意味になります。

F値

F値とは、レンズが取り込む光の量を表す値のことで、焦点距離÷有効口径で算出します。有効口径(レンズが光を取り込む範囲)が大きいほど、F値は小さくなり、そのレンズは明るいレンズということになります。一般的にF3以下のレンズが「明るいレンズ」といわれています。

レンズタイプ

カメラの撮影範囲にはレンズの種類も大きく関わってきます。レンズには、固定焦点レンズと可変焦点レンズの2種類があります。焦点距離を変えられないのが固定焦点レンズ、変えられるのが可変焦点レンズになります。固定焦点レンズは、一度カメラを設置すると画角の調整ができないため、常に一定箇所を監視したいときなどに効果的です。価格も可変焦点レンズに比べて安いので、固定焦点のカメラを採用するケースが多いです。

可変焦点レンズはバリフォーカルレンズともいい、焦点距離を変えることによって、ズームイン・ズームアウトができます。しかし、焦点距離を変えるたびにピントがずれてしまうので、実機を操作して画角を調整する必要があります。そこで、登場するのが電動バリフォーカルレンズです。こちらのレンズは、遠隔からマウス操作などで画角・ピントの調整ができるため、一度カメラを取り付ければ、後から容易に画角を変更することができます。

※可変焦点レンズのうち、焦点距離を変えてもピントがずれないものを「ズームレンズ」といいます。ズームレンズはとても高価なため、防犯カメラ・監視カメラにはあまり採用されていません。

IP・IK保護等級

監視カメラのスペックを見ると「IP66」や「IK10」といった表記を目にすると思います。これらは監視カメラの耐久性・耐候性を表しており、他の電子製品にも共通する用語です。IP〇〇とは防塵・防水性能を表しており、左側の数字は0~6までの等級で防塵性能、右側の数字は0~8までの等級で防水性能を表しています。数字が大きい方が高性能になります。例えば、IP68は「完全な防塵構造で水面下での使用が可能」ということになります。監視カメラの場合、IP66とあれば屋外でも設置することができます。

IK〇とは、耐衝撃保護等級のことで、0~10までの等級で表されます。数字が大きい方が高性能になります。最高等級のIK10であれば、「40cmの高さから落ちる5kgの衝撃に耐える」ことができ、ドームカメラであればIK10の耐衝撃性を備えていることが多いです。

給電方法

監視カメラの給電方法は、アナログカメラとネットワークカメラによって異なります。アナログカメラの場合、ACアダプターを用いてカメラへ電源を供給します。そのため、カメラには電源供給用のケーブルと映像出力用のケーブルの2本が接続必要となるため、配線が複雑になります。PoC給電(同軸給電)ができるモデルを開発しているメーカーもあり、アナログカメラでも配線をスッキリさせることができます。

ネットワークカメラもACアダプターによる給電はできますが、ほとんどの場合、PoE給電を採用しています。PoE給電とは、Power over Ethernetの略で、LANケーブルを通して電源供給をする技術のことです。映像の出力やインターネットの通信も1本のケーブルにまとめることができるため、配線をスッキリさせることができます。またPoEハブを増設することによって、1つのレコーダーに対して100台以上のカメラを接続することもできます。

監視カメラの様々な機能

前項で、監視カメラの基本的なスペックと用語について解説しましたが、最近の監視カメラにはそれ以外にも便利な機能が標準で搭載されています。

夜間撮影

監視カメラの中には、赤外線LED(IR)が搭載されているモデルがあります。IRを照射することによって、夜間や暗所のような0Luxの環境下でも白黒で映像を撮影することができます。また、白色のLEDが搭載されているモデルであれば、夜間でもフルカラーで鮮明に映像を撮影することができます。

WDR(ワイドダイナミックレンジ)

窓の外が明るい部屋をカメラで撮影すると、明るい部分が白飛びしたり、暗い部分が黒く潰れてしまったりします。WDRを使えば、このような明るい所と暗い所が混在する場所で撮影するときに生じる前述の問題を解消することができます。WDRは、シャッタースピードを変えて撮影した2枚の画像を合成することで、明るい場所を適度に暗く、暗い場所は適度に明るくし、映像を鮮明に映し出すことができます。

デフォッグ(霧除去補正)

監視カメラの設置場所によっては、霧や雨などの影響で映像が不鮮明になることがあります。そのような場合には、デフォッグ機能を用いることによって、低くなったコントラスト比を自動的に補正し、悪天候下でも鮮明な映像を撮影することができます。

AI機能

最近の監視カメラには、簡易的なAI機能が標準で搭載されています。代表的な例として、人数カウントや顔認証、侵入検知(画角内の特定エリアに入ってきた人物を検知)などが挙げられます。もちろん、これらのAI機能が搭載されたカメラは、一般的な監視カメラよりも高額になりますが、人員の削減や防犯の強化につながるなど、課題解決に役立つため、導入される企業も増えています。

監視カメラで撮影した映像の保存方法

監視カメラシステムの構築を検討するうえでは、監視カメラで記録した映像の保存先についても検討する必要があります。監視カメラで記録した映像の保存先は、主にレコーダー、SDカード、クラウドの3種類があります。それぞれの特徴を解説します。

監視カメラのデータをレコーダーに保存

既存の監視カメラシステムのほとんどは、HDD(ハードディスク)が搭載されたレコーダーに映像を記録しています。HDDの保存容量は、記録した映像の解像度、フレームレート、ビットレート(1秒あたりのデータ量)によって大きく左右されます。

(例)ケース①ケース②
カメラ台数4台4台
圧縮方式H.265H.265
解像度2MP2MP
フレームレート15fps30fps
ビットレート1024kbps4096kbps
HDD容量2TB2TB
録画可能日数約42日間約10日間

監視カメラのデータをSDカードに保存

SDカードはレコーダーの設置が難しい場合に、採用されるケースが多いです。しかし、SDカードの容量はとても少ないため、頻繁に録画データを削除したり、SDカードを適宜交換したりするといった作業が必要になります。また、SDカードを採用する場合、カメラの設置台数と同じ数のSDカードが必要となるため、この点も注意しておくべきでしょう。

(例)ケース①ケース②
圧縮方式H.265H.265
解像度2MP2MP
フレームレート15fps30fps
ビットレート1024kbps4096kbps
SDカード容量64GB64GB
録画可能日数約5日間約30時間

監視カメラのデータをクラウドに保存

最近では、クラウド録画が注目を集めています。クラウド録画の場合、クラウドサービスを提供している会社と契約を結ぶことによって、監視カメラで録画したデータをクラウドに保存します。保存期間は契約プランによって異なりますが、30日以上の長期保存もできるため、レコーダーやSDカードのように保存容量を気にする必要がありません。一方で、ほとんどのクラウドサービスが月額課金制(サブスクリプション)の形態をとっているため、サービスを利用し続けるにはランニングコストが発生します。

監視カメラを選ぶときに考慮すべきポイント

ここまで、監視カメラに関する基礎的な要素について、解説してきました。もちろん、他にも知っておいた方が良いことはたくさんありますが、監視カメラの性能を理解するうえで、最低限の知識は身についているはずです。これらを踏まえて、実際どのような基準で監視カメラを選べば良いのか?大きく3つの項目に分けて解説します。

アナログカメラとネットワークカメラで区別する

監視カメラシステムの導入を検討するうえで重要になってくるのが、アナログカメラとネットワークカメラのどちらを採用するのかという点です。

一般的に、アナログカメラシステムは小規模な店舗やスーパーなどに向いています。アナログカメラは1つのレコーダーに対して8~16台程度までしか接続できないため、拡張性がありません。その代わり、カメラで撮影した映像を遅延なくモニターに映し出すことができるので、事件・事故が起こった際にもすぐに対応することができます。また、ネットワークカメラに比べて安価なモデルが多いため、小規模な店舗であればアナログカメラで十分といえます。

一方で、ネットワークカメラシステムは大型商業施設やマンションなど、監視エリアが多い場合に適しています。また、インターネット経由で映像を伝送することができるので、複数店舗の一括監視など遠隔監視を目的とする場合にも向いています。

利用用途にマッチした監視カメラを選ぶ

監視カメラシステムを導入するうえで、利用用途を明確にすることは非常に重要です。最近では、AI機能付きの監視カメラも普及してきているので、防犯用途に限らず、様々なシーンで利用することができます。例えば、以下のようなシーンが挙げられます。

  • コンビニやスーパーでの万引き防止
  • 大型商業施設での事件・事故の防止
  • オフィス内の入退管理
  • 病院・介護施設・通学路等での見守り
  • 工場や作業現場等での禁止エリア立ち入り防止

店舗内を死角なく監視するには、複数台のカメラが必要です。また、特に景観などを配慮しないのであれば、威圧感のあるバレット型カメラが有効的でしょう。逆に、マンションやレジャー施設などで住人や利用客に対して威圧感を与えたくない場合は、ドーム型カメラが効果的です。

屋外に設置するのであれば、耐水性・耐衝撃性を備えたカメラが必須になります。また、夜間でも鮮明な映像を撮影できるように被写体照度の低いモデルを選ぶことをおすすめします。

オフィスの入退管理など、従来アナログで対応していた業務も監視カメラを使用することで簡略化・省人化することができます。また、昨今ではコロナウィルスなどの感染症対策として測温機能がついたカメラも普及しています。

コストを考慮して監視カメラを選ぶ

監視カメラの価格はメーカーによって大きく変わってきます。国内メーカーとしては、キヤノン、パナソニック、i-PRO(元パナソニックi-PROセンシングソリューションズ株式会社)などが挙げられます。国産製品のため海外メーカーに比べて高額なモデルが多いですが、品質に関しては信頼があります。

海外メーカーでは、世界監視カメラシェアトップのHikvision(ハイクビジョン)、世界シェア第2位のDahua(ダーファ)が挙げられます。(2022年11月時点)どちらも中国のメーカーで、安価なモデルが多いのが特徴です。また、Dahuaには、HDCVIという独自規格があり、フルHD以上の高画質な映像を250mも離れた位置に伝送することができるアナログカメラを開発しています。

他にも、スウェーデンのAxis(アクシス)、台湾のVIVOTEK(ビボテック)、韓国のHanwha Techwin(ハンファテックウィン)などが挙げられ、価格帯としては国内メーカーと中国メーカーの中間に位置しています。

監視カメラのシェア率

メーカーやスペックにもよりますが、下は1万円台のモデルから、上は数十万円台のものまで、監視カメラの価格にはかなりの幅があります。コスト試算の際には、監視カメラの購入費用に加えて、レコーダーやハブの購入費用、そしてそれらの設置費用まで考慮しなければいけません。設置費用は台数やその他条件によって異なりますので、専門業者に正確な見積を依頼しましょう。

まとめ

今回の記事では、監視カメラを選定するうえでの基本的な用語や知識、そして機能の違いや選定ポイントについて紹介してきました。監視カメラは様々なシーンでご利用できますが、正しい知識を身に付けることで、よりご自身の用途や条件にあったカメラを見つけることができます。

ミカサ商事では、1948年の創業以来、人と技術を結ぶエレクトロニクス商社として、常に、時代の変化に応じてお客様に、最先端の価値ある製品、サービスの提供を追求してきました。医療、流通、社会インフラ、モノづくりの現場など、様々な産業においてDXやAIの活用が進められる中、当社では監視カメラをひとつのキーデバイスと位置づけており、パートナー様との協業により、お客様のDX推進に価値あるカメラソリューション、サービスを提供します。

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